産後2年以内に夫婦間の愛情が冷え込む現象「産後クライシス」。
2012年にNHKの番組内で提唱されて以来、産後のホルモンバランスの変化や、家事・育児への夫の関わり方への不満などを背景に、特に女性側の愛情が急落するものとして広まってきました。

ベネッセ次世代育成研究室が妊娠中のカップルを対象に4年間追跡した「配偶者への愛」に関する調査結果でも、子どもが2歳になる頃には約半数の夫が妻への愛情を維持しいているのに対して、妻は34%しか夫を愛していないという結果に。

産後夫婦ナビが行ったいい夫婦の日の調査の中でも、妻は約2人に1人(45%)が産後クライシスに対して何らかの自覚を持っていることが分かっており、夫に比べて妻の方が産後の夫婦仲に危機を感じやすい傾向にあることが見て取れました。

※産後クライシスに対して何らかの自覚を持っている=「産後クライシス状態だった」「産後クライシス状態だと思う」「産後クライシスになりそう」の合計

こうした中、「産後クライシス」を自覚している妻たちから聞こえてくるのは…

・パートナーのことを本当に愛しているのか分からない。
・どうしてこの人と結婚したんだろうと思ってしまう。
・一緒に子育てをしていけるイメージが湧かない。
・相手の一挙一動に幻滅。とにかく不快。
・触れてほしくない。顔も見たくない。

などの声。

「産後特有の感情」「そのうち落ち着く」と、産後クライシスを一過性のものとして捉える人もいるようですが、その一方で「"離婚"が頭をよぎったことがある」という人も多く、放っておけば関係が好転するとは言い切れなさそうです。

実際に厚生労働省が日本の母子家庭を対象に行った調査(2016年度)でも、全体の約4割近くが子どもが0〜2歳の時…つまり「産後2年以内」に離婚を決意。子どもが3~5歳の時に離婚した家庭を含めると、その数は全体の半数を超えていました。

時が解決してくれるどころか、時を待たずに事態が悪化しやすいもの…それが、産後クライシスなのかもしれません。

どう乗り越える?産後クライシス

ではどうすれば、産後クライシスに負けない夫婦関係を築くことができるようになるのでしょう。産後も夫婦仲を良好に保ち、信頼・協力し合える夫婦関係を育んでいく上で、夫、妻、夫婦それぞれに心がけたいポイントを以下にまとめてみました。


夫の心がけ

産後の妻は普通じゃない!

妊娠中から今に至るまで、あなたの妻はどのように変化してきましたか?これといった変化は感じないという場合には要注意。あなたが思っている以上に産後の妻の心と体は大きく変化していると考えた方が良いでしょう。

《産後の妻の5大変化》

1、体力や免疫力が低下し、何かと体調を崩しやすくなる
(風邪が治りにくくなった、息切れするようになった、腰痛持ちになった、赤ちゃんを抱っこする体力さえない etc)

2、美容面に気遣えず、身に付けるもの全てが「子育て仕様」になる
(美容室やネイルサロンに行く回数が減った、汚されても良い服しか着ない、アクセサリーは付けない、靴はペタンコのものしか履かない etc)

3、達成感が得ずらく、生理的欲求も満たされ難くなる
(何をしても「母親として当然」と思われがち、自分のタイミングで寝たり起きたりトイレに行ったり食事を摂ったりすることができない etc)

4、外部との接触が減り、孤独感や閉塞感が募りやすくなる
(外出もままならず赤ちゃんと家で二人きりで過ごす時間が長い、社会から取り残されているような感覚に陥ることがある etc)

5、小さな命への責任感や緊張感から、神経質になりやすくなる
(自分のお世話の仕方一つで健康や命の問題に発展しかねないという恐怖心が芽生える、何かの拍子に虐待をしてしまうのでは無いかと思う etc)

ザッと挙げただけでも、産後の妻は上記のような変化に晒され、人知れずストレスを抱えている可能性があります。

おっぱい→オムツ→抱っこ…と、2〜3時間置きに泣き出す我が子のお世話が中心になる中、ゆっくり食事も摂れず、細切れ睡眠を繰り返している産後の妻は「普通」の状態にありません。たとえ妻から「私は大丈夫」と言われても、簡単に鵜呑みにせず、産後の妻の心と体の状態を気にかけた言動を心がけてください。

大変さや不安を一人で抱え込んでいないか?
自分の状況に気がつくゆとりを失っている可能性はないか?
自分さえ我慢すれば…と、犠牲の精神で乗り越えようとしていないか?

一番身近な存在である夫として気が付いてあげられること、理解や共感を示してあげられることがあるはずです。

間違っても…

一日中家にいるのに何でこんなに散らかってるの?
夜泣きで全然眠れ無い!赤ちゃん泣き止ませてくれよ!
早く帰ってきてほしい…って、仕事だから仕方ないだろ!

などの妻が不快に感じるコミュニケーションは避けましょう。産後に夫からしてもらった嬉しいこと以上に「不快な言動」を妻は一生覚えています。

今こそあなたの想像力を最大限に働かせる時です。
悩みや不安に寄り添う気持ちこそ、具体的な行動に表していけたら良いですね。

 

妻の心がけ

産後の夫はエスパーじゃない!

上記に挙げた5つの変化に限らず、産後に感じている様々なストレスを夫と共有できていますか?

適度なストレスはやる気の源になり人を成長させますが、過度な場合は注意が必要。特にホルモンバランスの乱れや育児不安、睡眠不足などでマイナス思考に陥りやすくなる産後は、ストレスをバネにできる余力がなくなっている…と考えておいた方が良いでしょう。自分の心と体の状況に向き合い、できるだけ早い段階で「ヘルプ」を出していくことが大切です。

また、「余計な心配をかけてしまう」と遠慮したり、「言わなくても分かるはず」「いつか察してくれるはず」と過信していても、何の進展も見込めません。「言っても意味がない」「言うのもしんどい」と、相手とのコミュニケーションを避けてしまうこともあるかもしれませんが、諦めている限り肝心なことは何も伝わらないものです。

ネガティブな感情が渦巻いている時、それを「無かったこと」にしないでください。喜怒哀楽が備わっているのが人間。良いことばかりではなく、「辛い・苦しい・悲しい・きつい・情けない」という感情に支配されてしまう時もあります。そしてそれは、自分だけで無く、パートナーの身にも起きていることかもしれません。

人生を共に歩むと決めた相手に対して、自分の感情や考えをきちんと伝えることはとても大切なことです。この先も信頼・協力し合える夫婦関係を築いていくために、自分の感情をタブー視せずに素直な気持ちを伝えることからはじめていきましょう。

 

夫婦ふたりの心がけ

産後の夫婦仲は「夫婦会議」で創られる!

産後クライシスを予防or乗り越えていくためには、「互いのマイナスな感情に早くに気づき、行動を修正すること」が大切です。

そこでおすすめしたいのが「夫婦会議(夫婦の対話)」。

夫婦の内、片方だけでも不安や不満に感じていることがあれば、気がついた時点で話し合う。お互いに「ごめんね」「ありがとう」と言い合える状況にすり合わせていく中で「こんな風にしてみたらどうだろう?」「もっとこうしてみようか?」と未来志向の話し合いができるようになっていていきます。

どんなに小さな溝やすれ違いであっても、放置するほどに深刻さが増していくもの。不都合な真実ほど先送りせずに、ふたりで気持ちを共有し、互いのマイナスの感情をプラスに変えていくやりとりに取り組むことが大切です。

また、そもそも「夫婦会議」は人生を共に創ると決めたパートナーと、より良い未来に向けて「対話」を重ね、行動を決める場のこと。何か問題が起きそうだから(起きてから)話し合う…というだけでなく、夫婦でより良い未来を実現するために話し合う。特に育児期においては、「わが子により良い家庭環境を創り出していくために」という目的意識を夫婦間で共有できると、より良い話し合いに発展します。

「夫婦で一緒に乗り越えてきた」という実感にも繋がる「夫婦会議」。産後クライシスに負けずに前向きに話し合うキッカケを掴み、この先も信頼・協力し合える夫婦関係を築いていけたら良いですね。心から、応援しています!

「夫婦会議」を始めてみませんか?

「夫婦会議」とは、人生を共に創ると決めたパートナーと、より良い未来に向けて「対話」を重ね、行動を決める場のことです。

自分一人の意見を通すため・相手を変えるために行うものではありません。「わたしたちとして、どうするか?」を考える場。特に育児期においては、わが子にとって、夫婦・家族にとって「より良い家庭環境」を創り出していくことを目的に行います。

家庭は社会の最小単位であり、子どもたちが最初に触れる社会そのもの。大切なことを前向きな気持ちで対話していける夫婦であるために、新習慣として取り入れてみませんか?

※「夫婦会議」はLogista株式会社の登録商標です。(登録番号6064766号)

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