自民党の宮崎謙介衆議院議員が「国会開会中に育休を取る」と表明して数ヶ月。
昨日2月5日(金)に第一子となる男の子が生まれたようですね。おめでとうございます!

そうした中で尾を引いているのが、国会議員の育休取得問題。8ヶ月間悩み抜いた結果、育休取得を決意した理由を、宮崎議員は自身のブログの中で次のように語っていましたが…

男性の育児参加が遅々として進まず、育児を女性に押し付ける風習と対峙し、若手の国会議員だからこそ、妻が国会議員だからこそ、私はこの重たい一歩を踏み出さねばならないのだと思いました。

引用元:宮崎議員ブログ

政界・世論からは「国会議員が率先して育休を取ることは大切」という賛成の声がある一方で、「国政に責任を負う者の判断ではない」「選挙で選ばれ、税金で報酬を受け取る立場なのだから休むべきではない」などの反対意見も多く出てきました。

国会に育休の規定はなく、男性議員が育児を理由に国会を一定期間休んだ前例もありませんから、向い風の方が強いのは当たり前なのかもしれません。

しかしこの議論、「国会議員の育休取得の是非」に終始していて良いのでしょうか。

本来であれば、議員だろうがなんだろうが「子どもを授かったすべての親が、安心しで子育てのスタートを切ることができる社会システムに整えること」に軸足を置いた議論が盛り上がるべきではないかと思うのです。

 

親の仕事次第で子育てのスタートが変わる?

あまり知られていませんが、「育休」には「育児休業」と「育児休暇」があります。

まず「育児休業」とは、労働者が育児介護休業法に基づいて取得することのできる休業制度のことで、子育てをする労働者が仕事と家庭を両立できるように支援することを目的につくられました。原則として、子どもが1歳になるまで(最大1歳6ヶ月まで)の間、男女を問わず育児休業を取得することができ、育休を理由に解雇や降格などが行われないようにするなど、労働者としてのさまざまな権利が守られています。収入を補う制度として、雇用保険法による「育児休業給付金」を受け取ることができのも特徴です。

これに対して「育児休暇」は、育児介護休業法の適用外にある人たちが育児のために自発的に取る休暇のことを言います。適用外にある人といえば、今回の宮崎議員(国会議員)はもちろん、個人事業者なども当てはまりますね。労働者と同じように、育休中の収入や復帰後の仕事が保障されることがない分、負担が大きいといえるかもしれません。とはいえ、国会議員は育休中でも議員報酬が満額支給されるため、育休中の収入がゼロになってしまう個人事業者とは負担感も異なりますが…。


いずれにしても、親の仕事の形態によって子育てのスタートが変わるという現実があるということ。

どんな仕事・働き方をしていても、父親も母親も子育てのはじめの1年間くらいは、経済的な不安を抱えずに思いっきり子育てに向き合って、この先の長い年月を夫婦・家族で乗り越えていける土台づくりができないものなのでしょうか。すべてのことに関して格差を埋めることは不可能だとしても、生まれたての命を歓迎するための格差是正を進めていくことへの必要性を感じます。

国会議員の育休に寛容な海外、厳しい日本

日本の国会議員は「特別公務員」という立場にあるため、労働基準法の適用外となります。国会には産休・育休については男女共に規定そのものがありません。ただし、出産を理由に欠席届を出すことは認められています。とはいえ、国会議員の出産について議論されたのもつい最近のこと。2000年の橋本聖子議員の出産時に、取り上げられたのがはじめでした。ちなみに、橋本議員は産後わずか1週間で国会に復帰されています。一般的には産後8週間(医師の許可があれば6週間)は働かないようにとされていますから、それがどれだけ異様なことであったか分かるかと思います。労働者ではないということ、育児介護休業法が適用されないということで、子育てのスタートが変わってしまうのです。

こうした中、北欧諸国などでは国会議員でも男女共に育休が取得できるようになってきています。育休中は代理議員が職務を代行する「代理議員制度」や、反対の意見を持つ議員とペアを組み、片方の欠席に合わせてもう一方も欠席する「ペアリング制度」が整ってきていることが功を奏しているのかもしれません。

また、全国民における男性の育休取得率においても日本は2%と極めて低いのに対して、スウェーデンやノルウェーは80〜90%と大変高い数値を出しています。

背景にあるのが「パパ・クオータ制度」。父親には4週間の育休を取得できる権利が割り当てられており、取らなければ自動的に権利が消滅する制度です。育休中(44週間以内)の給料は100%支給されることからも、1993年にいち早くこの制度を取り入れたノルウェーでは父親の9割が育休を取得するようになり、スウェーデンでは父親の育休取得率は約8割にまで上昇しています。

他の先進国と比較して、日本の男性は家事や育児に関わる時間が非常に少ないことも指摘されています。
背景には「長時間労働」で家に帰ることができない事情もありますが、その状況を変えようとする意識、家のことの主体者になろうとする個々人の意識の差もあるのかもしれません。

少子化問題もある中、政府は2020年までに男性の育休取得率を13%に押し上げるという目標を掲げています。

個々の家庭ごとにベストバランスがあることからも、一概に育休を取りましょう!とは言えませんが、やはり産後の傷ついた体を抱えながら、妻一人で家事・育児を担うのは大変なこと。子どもを授かった「すべての親」が子育てのはじめの1年間くらいは、経済的な不安を抱えずに思いっきり育児に向き合うことができれば、今よりももっと、仕事も家庭も大切にできるようになるのではないかと感じます。

国会議員の育休取得の是非よりも、「すべての親」が安心して子育てに取り組める環境づくりに向けた議論が盛り上がることを期待しています。