わけもなく涙が出て悲しくなったり、不安や孤独を感じるなど、ママの数だけ症状が異なる“マタニティブルー”。産婦人科やクリニックで事前に学んでいるママたちは増えていますが、パパたちは…?というと、「聞いたことがあるくらい」「知らない」という方がまだまだ多いのが実情です。でも、パートナーの一大事にそんな調子で良いのでしょうか?

ママだけでなく、パパ、そして周りの対応次第で症状が軽減する"マタニティーブルー"。産後、少しでも早くママの心身が回復し、家族みんながおだやかな時間を過ごせるように。予備知識を持って、産後を乗り越えていきましょう!

誰でもなるって本当?マタニティブルーになる原因とは

マタニティブルーは、女性ホルモンのバランスが崩れることによって引き起こされる一種の症状です。

出産時に胎盤が体外に出ることで、妊娠中に大量に分泌されていた「女性ホルモン」が一気に減少。産前産後で体内の女性ホルモンバランスが急激に変化する中で起こるものであり、避けられません。

その意味で、「誰でもマタニティーブルーになる」と考えられています。

どんな症状があるの?

気持ちや体、様々な変化がみられます。事前に知っておくことで「あ、これがマタニティーブルーの症状なのかも」と本人も周りも気がつき、安心できます。

<情緒面の症状>

・わけもなく落ち込む
・イライラする
・悲しくなる
・常に不安や緊張感がある
・焦りがでる
・困惑する(どうすれば良いか分からなくなる)

<身体面の症状>

・頭痛や疲労感がある
・涙もろくなる 
・食欲が低下する
・睡眠不足に陥る

<その他の症状>

忘れっぽくなる
集中力が低下する

(「精神保健福祉用語辞典(中央法規)」を参考に一部加筆)

 

産後は身体はもちろんのこと、心も休養が必要な時期です。
そうした中で、四六時中お世話を必要とした小さな命に向き合うのは相当なパワーを要します。


「どうして泣いているの?理解したいのに…」
「ちゃんと母親としてやっていけるだろうか」

 泣いてばかりいる赤ちゃんを目の前に、不安や焦りに駆られてしまうママ。育児だけでなく、その他の気がかりなこと(日々の家事や仕事復帰の計画、産後太りの解消など多種多様)が思うようにいかず、イライラが募ってしまうママ。なんとなく社会から取り残されたような気持ちになるママ。

産後、特にはじめの頃は、自分のことよりも赤ちゃんを優先しながら過ごす時間が増えます。その状況下で、女性ホルモンが急激に低下。赤ちゃんとのふれあいの中で幸せを感じる場面もたくさん出てくるとは思いますが、同じかそれ以上に、落ち込んだり不安を感じたりすることも増えるもの。いたって普通のことなのです。

いつ起こる?いつ治る?

一般的には産後3〜10日以内に症状が現れ、2〜3週間もすれば落ち着くとされています。つまり、マタニティーブルーは「一過性のもの」なのです。周りが適切に対応、協力することで自然と症状は治ります。

そのため、無理に前向きになろうと頑張りすぎる必要はありません。

なんだか悲しい事、話したい事があるならば遠慮なく信頼出来る人に話をしてみるのも対処の1つです。ただ、あまりに落ち込みがひどく、「赤ちゃんが可愛いと思えない」「お世話をする気力が湧かない」などの症状が続くようであれば、産前にお世話になった病院や助産師、保健師に相談することも考えてみましょう。

マタニティブルーと産後うつ、何が違うの?

「マタニティブルー」と「産後うつ」は、同様の症状が現れる場合がありますが、発症時期や経過が異なります。マタニティブルーは症状が一過性であるのに対して、産後うつは長期化するという点が、大きな違いと言えるでしょう。

 また、産後うつの場合には症状が長期化することにより「命のこと」まで考えてしまうことがあります。

パートナーや家族など、周りの人から見て 「ひょっとしたら、マタニティブルーじゃなくて産後うつかもしれない…」と思うところがあれば、信頼出来る医療従事者や保健師さん、地域にある子育て相談電話などに問い合わせてみるのも手です。

 ママの安定は、赤ちゃんの発達にとって重要な栄養素です。「そこまでしなくても」「気にしすぎでは」などと思わずに、少しでも「何か」を感じたら、抱え込まずに専門家に相談しましょう。早めの治療を心がけることで、重症化を防ぐことはもちろん、救われる命があります。

ママとパパ、周りの人と一緒に乗り越えよう!

マタニティーブルーはママ一人で乗り越えられるものではありません。それぞれの立場でできることがあると知り、心穏やかに子育てができる家族を増やしていきましょう!

<ママ/これからママになる人へ>

出産前から赤ちゃんと共に過ごし、自分のことを後回しにしてきたママ。赤ちゃんを中心とした生活スタイルに自分を適応させようと奮闘する中で、無理をしたり我慢したりすることが増えがちですが、「自分が頑張ればどうにかなる」と言うほど甘くないのが育児です。一過性のものとはいえ、心身のバランスを崩す「マタニティーブルー」を悪化させないためにも、周りに上手に甘えることが大切。パートナーや家族・周囲の協力無しに乗り越えられないと心得て、産後に備えましょう。

1、相談できる人を見つける
些細な事でも話せる相手がいると、ストレス発散にもなり孤独も感じにくくなります。自分が感じていることを気兼ねなく話せる人を見つけましょう。

2、赤ちゃんをパパに任せてみる
数時間からでも良いので、まずはパートナーであるパパに赤ちゃんのお世話を任せてみてください。日中なら、その間は気分転換に外出をすることもできるかもしれません。また、夜でしたら別室でゆっくり体を休めることもできるかもしれません。(泣いても起こしに来ないようお願いしてみるても良いですね!)パパ自身も、ママに任せきりにせず自分の子どものお世話が出来るようになることはメリットが大きいはず。子どもにとってはママだけでなくパパも親であるという気持ちで、一緒に乗り越えてもらいましょう。 

3、赤ちゃんのお世話以外、何もせずに過ごしてみる
息がつまりそうになったら、「今日は赤ちゃんのお世話以外一切なにもしない!」と決めてみるのも良いかもしれません。部屋が散らかっていても、洗濯物が溜まっていても、「今は最低限のこと、赤ちゃんのお世話だけに集中する」と割り切ることで、多少気持ちが楽になることもあります。それでも汚れた家で暮らすのは嫌!という方は、パパや周りの頼れる人、あるいは産後のママのサポートをする専門家などに、家事をお願いしてみてることをオススメします。本来、家事も育児も女性だけのものではありません。全て自分で・・・と抱え込まずに、パートナーや周囲と協力し合いながら進めていけるといいですね。

 

<パパ/これからパパになる人へ>

マタニティブルーは、特殊なものではありません。「誰にでも起こりうる自然なこと」です。まずそのことを理解し、おおらかに見守ってあげられると、症状の多くが緩和します。

1、ママの気持ちを聴く
女性は「感情を言語化」することで思考が整理されると言われています。そのため、「気持ちを話させてあげること」が肝心です。単なる愚痴に聞こえても、途中で話の腰を折ったり、すぐに解決策を提示したりせず、しっかり最後まで話を聴いてあげてください。「私はあなたに関心があります。あなたの話を聴いています」という態度で聴くことができていれば、奥様はとても安心します。間違っても「母親なんだから頑張って。しっかりして」という一言で終わらせないでください。話を聞き終えた後に「一緒に頑張ろう」というスタンスを示せるパートナーでいることが重要です。

2、夜中のミルクや夜泣き対応を引き受ける
日中寝る時間があるのでは?と思うパパも多いですが、育児の合間に上手に仮眠がとれているママの方が珍しいもの。ほとんどのママは、産後今までに感じたことのないような「寝不足」に陥り、気力も体力もヘトヘトになるということを心得ておきましょう。だからこそ、一晩たっぷり睡眠がとれる環境をつくってあげることが大切。完全母乳育児であったとしても、夜中は哺乳瓶でミルクをあげてみたり、抱っこしてあやしたり、夜泣き対応を引き受ける方法はいくらでもあります。翌朝からママが少しでも心穏やかに赤ちゃんと向き合えるよう、意識的にパパの出番を増やしましょう。

 3、おみやげを買って帰る、早めに帰宅する
「いつもありがとう。おつかれさま」という気持ちをカタチで表してみましょう。とはいえ、「そんなもの買ってくるくらいなら早く帰ってきて!」と言われることもあるので要注意!(笑)実際に、おみやげよりも早く帰宅してくれた方が嬉しいというママは少なくありません。ママが何を求めているのか、普段からコミュニケーションをとっておくことが大切ですね。

 4、ママが安心して一人になれる時間をつくる
ママに外出を進めてみましょう。「他に任せられる人がいる」「パパが助けてくれる」という安心感がママを元気にします。外の空気を吸い、友人とおしゃべりをしたり、美容室に行って身だしなみを整えたりする時間に充ててもらえると、よりリフレッシュできるかもしれないですね。帰宅後は、一層赤ちゃんや夫への愛情も増しているはず。ママがより穏やかな気持ちになれるよう、できることからはじめてみましょう。

 

<ご家族の方、周りの方へ>

「あの子に限ってマタニティーブルーになるはずがない」「心が強いから大丈夫」などと思っていませんか?

周りの皆さんは、「マタニティブルーは誰にでも起こるもの」という意識を持っておいてください。決して、心が弱いわけではありません。励ますことより、おおらかな気持ちで見守ること。ママがヘルプを出してきたら、サポートを買って出るなど、できる範囲で寄り添ってあげてもらえればと思います。

いかがでしたか?

 

ママの多くは、赤ちゃんをはじめ、パパや家族の幸せを願って、つい頑張ってしまいます。頑張ることは悪いことではありませんが、一人で頑張れるほど簡単なものではないのが「育児」です。産後という心身が不安定な時期にママが頑張りすぎることのないよう、パパや家族・周りの方々はしっかり見守ってあげてください。また、ママ自身も自己犠牲の精神で育児や家事をすることなく、上手に周りの力を活かすことが大切です。

 

産後うつの状態に陥るかどうかは、「マタニティブルーの時期の過ごし方」にかかっています。これからの家族が幸せであるよう、それぞれの立場で、ママの健康と笑顔を第一に考え、マタニティーブルーを乗り越えていきましょう! 

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おせっかい隊:高橋 雅子(たかはし まさこ)

福岡県出身。長崎の大学にて児童虐待やDV被害者支援など家族問題の学びを深める。卒業後は社会福祉士と精神保健福祉士の資格を活かし、障がい者・児の生活・相談・就労支援の現場と、DV被害者支援の現場に携わる。2013年より『世の中には多くの家族がいるけど、悲しい想いをする人をこれ以上誰一人と増やしたくない!』と決意。以降、家族支援カウンセラー(民間)・産前産後ヘルパー(ニチイ)、産後ケアリスト2級(日本産後ケア協会)、認定産後ドゥーラ(一般社団法人ドゥーラ協会)を取得。2016年春から、福岡市や近郊地域にて訪問型産前産後支援をスタート。同時に障がい児がいらっしゃるママ、心の病を克服しようと頑張っているママの在宅支援もスタートしている。『ママの笑顔が家族の笑顔』をモットーに、地域で母子をサポートするソーシャルワーカーとして奮闘中。

◼︎ブログ「ママの笑顔がみんなの笑顔 産後ドゥーラ兼ソーシャルワーカーたかはし」

◼︎一般社団法人ドゥーラ協会 認定産後ドゥーラ 掲示プロフィール