子育て世帯の強い味方!お金の専門家の吉田麗子です。
前回は、この10年間さまざまなご家庭の家計を見てた中で大きく変わってきた「お金の常識」についてご紹介しました。

その中の一つが「教育費の貯め方」
というわけで今回は、親になった今だからこそ知っておきたい教育費をテーマにお届けします。

学資保険の「満期金」だけでは足り無い!?

お子様の教育資金を準備するための保険として知られる学資保険。
実際に加入している方の多くが、高校卒業の頃の18歳満期で200万円程の満期金を受け取れるように設定している中、「満期金だけでは足らない可能性が高い」ということを皆さんはご存知でしたか?

そもそも学校や塾、習い事や体験学習系のイベントなど…お子様の成長に応じて発生する「教育費」の種類や額はご家庭ごとに様々。高校2年生まではできるだけその年の収入の範囲内で教育費をやり繰りするとしても、大抵は高校受験を控えた中学3年生の頃から受験対策や入学準備などで教育費が激増!大学入学辺りで最も費用が膨らむ時期が到来します。

例えば大学出願から大学入学後に前期授業料を納めるまでの合計額は、国公立大に入学して自宅から通う場合でも「127.8万円」、下宿生だと「198.9万円」。私立大の場合は、自宅からだと「148.4万円」、下宿生だと「223.5万円」かかっているのが現状です。(全国大学生協連「2017年度保護者に聞く新入生調査」)

学資保険の満期金が200万円とすると、この支払いで満期金を使い果たしてしまいますね。

しかも大学に在籍しているだけで、年間の平均費用は国公立大でも100万円超、私立大だと150万円前後が掛かります。一人暮らしをすると、それプラス「仕送り」が必要になることもあるでしょう。また、文部科学省のデータでは、2歳差の2人の子どもが別々に一人暮らしで私立大に通った場合の年間の教育費は、共働き世帯の平均可処分所得(手取り給与)の8割超に達するともいわれています。

いきなり気持ちが重くなりそうなデータをご紹介してしまいましたが、子どもの成長は待った無し。進路次第ではありますが、ある程度までの教育費の準備は親としての責任…と考えると、学資保険の満期金だけで教育費の全てを賄えると考えないほうが良いでしょう。

学資保険は「過去の王道」

とはいえこの記事を読んでいらっしゃる方の中には「祖父母から学資保険で大丈夫と言われたし…」という方もいるかもしれませんね。しかし学資保険が「教育費の王道」だったのは過去の話。現在は、学資保険だけでは十分とは言えません。

理由は、ズバリ「超低金利」。
つまり「支払う保険料に対して、お金の殖える力が弱い」のです。

たとえば私が大学に入学したのが20数年前(笑)ですが、その頃の大学資金は学資保険で準備するのが主流でした。私の親も、私が産まれた1977年に保険料の支払いをスタートさせ、1995年に満期金を受け取ったそうですが・・・母曰く、受け取った満期金は払い込んだ保険料のほぼ倍額だったそうです。くー!うらやましいっ!!

月日は過ぎ、2018年の「今」はどうでしょう?
中には返戻率(へんれいりつ)が100%をわずかに上回る商品・プランもありますが、超低金利の影響でほとんどの学資保険では満期金が支払った保険料総額より少なくなるのが実情。終身保険の解約金を学資代わりにするプランもありますが、低金利であることに変わりはなく、なかなかに厳しい状況と言わざるを得ません。

実はいろいろある!教育費の貯め方

では一体、教育費をどう準備していけば良いのでしょうか?

学資保険は「契約者である親が死亡した際、以降の払い込みが免除され満期金も予定通り受け取ることができる」など生命保険的な特徴もあり一概に悪いとは言い切れませんが…返戻率が低すぎる上に元本割れする可能性もある点が気になるところ。

というわけで今回は、学資保険に代わる貯め方・殖やし方として注目されている二つのケースをそれぞれ簡単にご紹介しておきたいと思います。

1、外貨建て保険

まず一つ目は、金利がより高い「外貨建て保険」を学資保険代わりとするケースです。
たとえば、円安になれば保険料の支払いは増える一方、受け取る満期金は増え、円高になれば保険料の支払いは減る一方、受け取る満期金も減る…といった内容で、解約時の為替次第では大きく受け取ることができるようになっています。

「為替の変動」に注意が必要で、解約時に日本円とドルのどちらで受け取るのか?為替手数料をどう見るか?など、いくつか気になるポイントはありますが、最近利用する人が増えている傾向にあります。学資保険が貯蓄型であるならば、こちらは投資型といえますね。

ちなみに、この為替の変動リスクを軽減した保険商品も出てきているようですが、いずれにしても加入時に詳細をしっかり確認しておくことをお勧めします。

2、NISA

次によく検討されているのが、NISA(少額投資非課税制度)です。

こちらは5〜20年の一定期間、売却した時の利益と分配金に本来課税される約20%の税金が非課税になる制度で、低金利の今、預金や学資保険と比較すると殖える力はあると言えます。

ちなみに「NISA」は「非課税期間が5年間/年間120万円まで投資」することができ、「つみたてNISA」は「非課税期間は20年間/年間40万円まで投資」することができます。いずれも、資産を途中で引き出すこと(非課税期間の途中での売却)は可能です。

お子様が10歳を過ぎていれば、より安全性の高い債券が多めの投資信託にするなどの工夫は必要ですが、教育費が必要になるタイミングまでに10年以上あるのであれば、NISA、つみたてNISAで株式を対象とした投資信託を選択しても良いでしょう。

どちらにしても、換金したいギリギリのタイミングまで保有していると直前に価格が下がる可能性もあることから、予め必要な教育費を設定し、その金額が確保できたら売却するというような決断も大事になってきます。また、NISAとつみたてNISAは一人が併用できない商品になっているため、どちらかを選択する必要があります。併用したい場合には、夫がNISA、妻がつみたてNISAという具合に運用を試みるのも一つの手ですね。

教育費は夫婦・親子で「対話」しながら決めていこう!

さて、ここまでに教育費の貯め方についていくつかの考え方をご紹介してきました。

私も親ですから、わが子のことを思えば教育費はしっかり貯めたいですし、成長と共に先々費用が膨らんでいく人の気持ちも非常に良く分かります。しかし現実には、毎月教育費として積立できる金額は限られているもの。当然ながら、将来に向けて準備できる金額にも限度が生じてきます。何より、最初に見ていただいた通り「何となく通わせる」には日本の教育はお金がかかりすぎます。

だからこそ、本当にお金をかけて…
・この学校、塾、習い事、イベントなどに通う必要があるのか?
・お金をかけないと、その教育は受けられないのか?
・他に手段はないのか?

まずは夫婦で教育の目的や手段を考え話し合うことが大切です。

そしてお子さんが成長してきたら、本人の希望にも耳を傾けていきたいですね。教育の目的の一つに「子どもの自律」を掲げるのであればなおさらです。先々「子どもが本当に必要とするもの・こと」に気持ちよくお金を準備してあげられるように、夫婦間はもちろんのこと、親子間でも教育費について対話ができるようになると心強いですね。

 

おまけ

高校や大学など少し先の話ではありますが・・・
どうやり繰りしても足りない時には「奨学金」という手もあります。
ただし奨学金は、受け取りが入学後になるため、入学前後の諸経費は自力での準備が必要になります。また、一言で奨学金と言っても、無利子か有利子かを含め、様々な種類や条件があります。無理のない返済計画が立てられるかどうか?

奨学金についても夫婦・親子でしっかり「対話」してくださいね!

イベントのお知らせ

ニコニコえがおママフェスタ2018(主催:ニコニコかすやプロジェクト)

●日時:平成30年9月29 日(土)10:00~16:00
●会場:かすやドーム サブアリーナ/会議室
(糟屋郡粕屋町駕与丁3-2-1)
https://peraichi.com/landing_pages/view/nicomamafesta2018

福岡県糟屋郡で行われるこちらのイベントで「教育費」をテーマにした講座を担当致します♪
受講無料のこの機会にぜひご参加ください!

講座名:「学資保険じゃ足らんバイ!今すぐ実践!無理せず教育費を作るコツ」
時 間:13:45〜15:00 
講 師:FP事務所シナリオ 吉田麗子
  

暮らす力を育む!お金で学ぶさんすう®(主催:福岡FP事務所シナリオ )

●日時:2018年11月18日(日)13:30〜16:00
●会場:粕屋町商工会 大会議室
(粕屋郡粕屋町若宮2丁目3-1 )
★お申し込みはコチラから★

お子さんにお金のことをどう伝えたら良いか分からない…そんなお悩みに答えてくださる方必見の講座を開催します。講師は住山 志津枝さん。今日から使える「さんすう」の学び方など、大人と子ども双方に学び合える場になるはず。ご期待ください!

過去の記事

おせっかい隊:吉田 麗子(よしだ れいこ)

小学生2人と保育園児の3姉妹ママ。

九州大学教育学部卒で金融・経済とは全く無関係の学歴ながら、新婚当時「職なし・カネなし・時間ありまくり」の状態を脱却すべく、お金の勉強をスタート。自分と社会の繋がりへの理解が深まる面白さと、ライフプラン(=長い人生の行方を自分で決めること)のワクワク感をより多くの人に知っていただきたいという思いから、ファイナンシャルプランナー(FP)の仕事を始めるべく資格を取得。2007年より「教育費と住宅費を支払いながら老後生活費を確保し、相続対策まで行う」家計相談を始める。教育費・住宅費・保険・資産運用・終活等のセミナー講師や執筆、TVやラジオでのお金のニュース解説も行っている。

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