アンガーマネジメント専門家の丸山啓太です。
久しぶりの投稿になってしまいました!楽しみにしていた方がいらっしゃったら本当に申し訳ありません。

前回は「べき」との付き合い方に関するお話でしたね。
怒りの正体が「(自分が信じている理想の)べき」であるということが分かったのは良い事ですが、「べき」と付き合うのはとても難しい。なぜなら「べき」は自分にとっては全部正解で、お互いの「べき」が同じでも程度がかみ合わなかったり、時代・立場・環境によってその基準が変わるから…という話を踏まえて、「べき」と上手に付き合うコツをいくつかご紹介しました。実践できていますか?

まだまだ道のりは遠い…という人も焦る必要はありません。

今回新たにご紹介する「怒りの性質」を参考に普段の夫婦・家族の関係性を見つめ直しながら、怒りをコントロールする足がかりを掴んでいきましょう!

怒りにもいろいろな「性質」がある!

1、「高い」ところから「低い」ところに流れる

上司から部下へ、先輩から後輩へといった感じで、怒りは「立場の強い人から弱い人」に流れる性質があります。

家庭内であれば、夫から妻へ、妻から夫へ。
あるいは、親から子どもへと流れるケースも少なくありません。
そしてその怒りは、さらに低いところへ流れ続けます。

たとえば、親は家の外で店員や病院の受付など立場が弱く「言いやすい人」に怒りを向けることがあります。また、子どもは家の外で「自分より立場が弱い友達」に怒りを流してしまうことがあります。自分より発言力が無かったり、目立たなかったり。思いがけず「いじめ」に発展してしまうこともあるかもしれません。

怒りを自分でコントロールできるようになれば自分のところで止めることができます。しかしそれができなければ、怒りはどんどん低いところへ流れていき、止め処なく誰かを傷つけてしまうことがあるのです。

 

2、「身近な存在」にほど強くなる

実は怒りには「身近な存在」にほど強く出るという性質があります。

あなたにとって身近な存在は誰ですか?
たぶん、産後夫婦ナビをご覧の皆さんにとっての身近な存在は「夫」や「妻」、「子ども」「祖父母」などではないでしょうか。身近で大切な存在であるはずの「家族」にほど、イライラしたり、怒りの感情をぶつけてしまう。怒りには、そうした困った性質があるのです。

しかし、時に怒りは「困った」では済まされないような事態を招きます。たとえば、昨年2018年3月に東京都目黒区で5歳児の女の子が虐待死したニュースが記憶に残っている人は少なくないのではないでしょうか。つい先日も、千葉県野田市の小学4年生が虐待死するなど、痛ましい事件があとを絶ちません。怒りは、時に身近な「命」を奪います。

「言わなくても分かってくれるはず」
「家族のことを思うのであれば、変わってくれるはず」

もしあなたが、大切なはずの家族に対して怒りの感情をぶつける傾向が強いとしたら、身近な存在に対する「甘え」や「遠慮の無さ」も原因の一つになっているかもしれません。行き過ぎた怒りになっていないか、怒り方に問題はないか、見つめ直したいものです。

 

3、矛先が固定できない

いわゆる「八つ当たり」というやつですね。
人は怒りをもらうと別の原因にすり替えて、様々なところに撒き散らしてしまうことがあります。

大したことはしていないのに、めちゃくちゃキレられてしまった。
はっきりとした理由も無いまま、怒られてしまった。

そんな経験ありませんか?

それは、もともと満タン状態だった怒りのコップに、たまたまあなたが最後の一滴を入れてこぼしてしまったから。(以前話した「怒りは第二次感情」の記事を参照ください)もちろんその一滴が引き金を引いた事に変わりませんが「八つ当たり」をされている可能性もあるのです。

気分は良くないと思いますが、あまり気にしすぎずに気持ちを切り替えていくことも大切です。

 

4、怒りは伝染しやすい

「もらい泣き」という言葉がありますが、「もらい怒り」という言葉もあるのを知っていますか?

たとえば、4人家族で自分以外の3人の機嫌が悪い時を想像してください。
それぞれにイライラしていたり、物に当たったり、文句を言っていたり。何か家の中の雰囲気が悪いのに、自分だけハッピーな気分♪…ということにはならなさそうですよね?

そういう場合には、やはり自分も気分が悪くなるもの。
人は、意図せずして怒りの感情を伝染させてしまうことがあるのです。 

 

5、怒りはエネルギーになる

上記に挙げた性質はすべて「怒りのマイナスの性質」ですが、怒りは上手に扱いさえすれば「エネルギーやモチベーションアップ」に繋がることがあります。

たとえば、会社で上司に怒られた場合。「あ〜むかつく!」「自分は役に立たない」と思うのか、「次は認めてもらえるように頑張ろう!」「わざわざ怒ってもらえた。ありがたい」と思うのか。捉え方一つで、その後の行動や結果は大きく変わりそうですよね?

子どもも同じです。

あなたのお子さんが、好きで始めたスポーツの試合で負けたとします。その時に「もうやりたくない」とふて腐れてしまったりチームメンバーのせいにしてしまうのか、「もう負けたくない!皆でもっと団結し合おう」「更に練習を頑張って次こそ勝とう!」と思うのか。得られる結果は全く違ったものになるのではないでしょうか。

このように、怒りの感情は「使い方」「捉え方」次第で、人生を前向きなものに変えてくれます。いや、大きく人生が変わる!と言っても過言ではないでしょう。いずれにしても、どうせならプラスの方向に使いたいですね!

「怒りの性質」から見える「夫婦・親子の関係性」

いかがでしたか。何か思い当たることはありましたか?

怒りは人間に備わった基本的な感情であり、怒ること自体は何の問題もありませんが、家族などの身近な人との関係を大切にしていくためにも、必要な時に適切な怒り方が出来るようになりたいものですね。今回ご紹介した「怒りの性質」が、普段の夫婦・親子関係を見つめ直すキッカケの一つにもなれば幸いです。

今回はここまで!
次回は「怒った時にどう行動をすれば良いか」についてお届けしたいと思います。

過去の記事

おせっかい隊:丸山 啓太(まるやま けいた)

福岡市出身。(学歴:金山小学校⇒梅林中学校⇒城南高校⇒福岡大学)
2000年より10年間、株式会社リクルートに在籍し、主に「タウンワーク」の企画営業を行う。2007年には「タウンワーク久留米・鳥栖版」の創刊にリーダーとして参加し、全国で最優秀リーダー賞を受賞する。その後アンガーマネジメントに出会い、マルプロを設立。子育て支援や良好な人間関係の構築を応援すべくセミナーや講演会を開催中。

趣味はソフトテニスで競技歴30年。過去には国民体育大会に出場経験あり。今でも全国津々浦々の試合に参加し、青春真っ只中!そのおかげで、いまだに独身(笑)

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