家とスーパーと公園を行き来する生活を経て感じた「ママの笑顔」の大切さ。
「大切な仕事」だからこそ、あなたもちょっとだけ「ママ」を休みませんか?

原点は、専業主婦時代の苦い思い出

ママたちが子連れで気軽におしゃべりできる「親子ルーム」やWi-Fiのつながる小さな「カフェスペース」。パーティーに使える「多目的スペース」。ゲルマニウム温浴、マッサージ機などを備えた「エステルーム」。今から約8年前…2007年10月にオープンした一時保育がメインの保育園「マミースマイル」は、かつての私が切望していた「ママのための空間」としてスタートしました。

年子の子育てを一手に引き受け、自分の居場所を見失っていた専業主婦時代。夫は出版社に勤めるサラリーマンで、深夜帰宅が当たり前。子育てにかかわる時間も夫婦の会話も無い中、不満と被害者意識ばかりが募り夫婦関係は悪化。当時の私は、幼児教材の営業電話がかかってくると「今日は大人と話せた」とうれしくなってしまうほど誰とも話しをしておらず、家とスーパーと公園だけを行き来する日々を送っていました。

見た目も性格もどんどん悪くなっていく気がして、自信を失うばかり。出産も子育ても、何にも代えがたい幸せと成長を与えてくれるできごとであるはずなのに…。そんな苦い思い出を経た今だからこそ分かる「ママが笑顔でいることの大切さ」が、マミースマイル保育園の原点です。

模索し続けた支援のカタチ

オープン当初は「0歳児ママの交流会」イベントを企画するなど、工夫はしてみても利用者はなかなか増えず。結局、あちこちで子連れのママ(当時はほとんどパパはいませんでした)を見つけては、地道にチラシ配りをしていました。

そんなある日、いつものようにスーパーの前でチラシを渡していると、店内からかなりの勢いでベビーカートを押して出て来る険しい表情のママに遭遇しました。大股で歩くママの背中には、カートの中とは別に、もう一人赤ちゃんの姿が。「双子ちゃんかな?」と様子を見ていると、そのママは、赤ちゃんを乗せたまま買い物カートを投げつけるように乱暴にしまったのです。

「あ~、大変だな。疲れているんだろうな」…私はそう思って近づき、「お母さんがちょっと休憩してお茶を飲んだりエステをしたりできる場所がオープンしました。よかったらおいでください」と言ってチラシを渡そうとしました。するとその女性は、チラシを見ようともせず「そんなヒマないんですよ。子育てしてたらそんなヒマあるはずないでしょ。バカじゃないの」と一蹴。怒った顔のまま、一度も私の顔を見ずに行ってしまいました。

わかる!わかります。その気持ち!でも、だからこそ利用してほしかった…。あなたのような女性にこそ利用してもらいたかったのに…。

私には、その女性が普段どのような人物かは分かりません。しかし、他人に暴言を吐いてしまうような心境にあったということ、いっぱいいっぱいにさせてしまうような環境にいる…ということだけは、痛いほどに伝わってきました。

もっと直接的に助けてあげられる言葉をかければよかった…。無力感から、悲しくて、悔しくて、涙が出ました。ただ受け入れる施設を作るだけでは、本当の支援にはならないことを感じた瞬間でした。

ママという「仕事」を休もう

ママが子育てで「いっぱいいっぱい」になると、どんなことが起きるのでしょう。

眉間にしわを寄せて感情的になったママを想像してみてください。子どもは泣き止まず、寝てくれない。ゴキゲンは悪くなる一方で、パパも困り顔…何をやってもうまくいかない。そんな悪循環が浮かんできませんか?それどころか、ママが子育ての責任を一手に引き受けることで、「心の病気」を発症してしまうこともあるのです。(これは、責任感が強く頑張りすぎてしまうママに多く見受けられます。)

子育ては、お医者さんや看護師さんのように人の命を預かり、教師や保育士のように言葉や生活習慣や社会のルールを教え、心を育んでいく大切な仕事です。この仕事には、体力だけでなく集中力やタイムマネジメント能力、コミュニケーション力も必要になります。そんな仕事を、たった一人で、休み無しに続けられるでしょうか。

 「子育てはママの責任」という、誰が決めたともわからない固定概念に翻弄され、悩んでいるママにとって、「ママという仕事を休む」ことほど重要なことはありません。他の仕事と同様に、専業ママにだって休む時間は必要。心からの笑顔で子育てに向き合うためには、ちょっとだけ「ママというお仕事」を休むことが必要なのです。

世の中のママたちが、責任感や緊張感に縛られた子育てでではなく、何にも代えがたい幸せと成長、ママとしての喜びを最大限に味わえるような子育てができますように。私もまた、マミースマイルを通じてそのお手伝いを続けていきたいと思っています。

過去の記事

おせっかい隊:雁瀬 暁子(がんせ あきこ)

母親が24時間365日、休みなく子育てに拘束されることで生じる孤独な子育てに危機感を感じ、07年「ちょっとだけママを休もう」をテーマに、母親の心や体を癒す施設を併設した一時預かり保育園を創業。年間延べ2千人の育児中の母親と直に接し、育児や夫婦関係、主婦の再就職や仕事との両立の悩みなどの相談に応じる中で、ワークライフバランスの必要性を痛感する。

変わりゆく時代の中での「家族」や「夫婦」のあり方、「育児や介護などで時間の制約がある人」の働き方、女性のライフプランニングの重要性などについて、豊富なデータと分析を示しながら男女共同参画やワーク・ライフバランス、少子高齢化問題についてなどの講演活動を行っている。

◼︎就活・婚活・子育てに効くワークライフバランス講師・雁瀬暁子ホームページ
◼︎マミースマイル保育園