産後1年未満の母親たちから寄せられるお悩みの中に、「大人と話したい」という声があります。
この一言には、産後の妻たち特有の切実な思いが込められています。
多くの母親が経験することですが、産後1〜2ヶ月は外出を控え、家で育児をしながら過ごす日々が続くもの。生まれたばかりの赤ちゃんの体の機能は未熟な上、母体も見た目以上のダメージを受けているため、病院に行くなどのやむを得ない用事を除いて外出を控えるのが一般的とされているのです。
実際に、「1ヶ月健診やお宮参りなどの特別なタイミングに限って外出した」「ほとんどの時間を家で過ごし、家事・育児を一手に引き受けてきた」という人も少なくありません。
そのため、この期間は「言葉を発することが期待できない赤ちゃん」と一緒に過ごす時間が大半。
もちろん赤ちゃんは可愛らしい存在ですが、相手からの言葉を期待することは難しく、一方向的なコミュニケーションが主流となる中で「ずっと独り言を言っているみたい…」とモヤモヤを抱える人も珍しくありません。それどころか、赤ちゃんが泣き続ける日や、寝かしつけに何時間もかかるような日には、精神的にも肉体的にも限界を感じ、赤ちゃんの求めに応じたオムツ替えやミルクを与えるなどの基本のお世話すら億劫になることも。
特に、夫が仕事中心の生活スタイルでほとんど家にいない場合や、お互いの実家との交流が少ない場合などは、いよいよ誰ともまともに話せずに1日が終わり、次第に孤独感を募らせていく人もいます。
程度の差こそあれ、この「大人と話したい」という言葉は簡単にスルーして良いものではありません。
むしろ、孤独な育児に立ち向かう産後の妻の「心からの欲求」なのです。
どの程度話せば満足できる?話し相手は誰でも良い?
では、産後の妻たちは、どの程度のコミュニケーションがあれば満足するのでしょうか?
実は、女性は一定の言葉のやり取りを必要としていることを示す研究結果が多数あります。
例えば、2025年2月に発表されたばかりのアリゾナ大学の研究(対象:2,197人)によると、25〜64歳の成人期の女性は平均して21,845語、男性は18,570語を話すことが明らかになりました。
その差は3,275語と一見わずかに思えますが、原稿用紙に換算すると20枚半ほどに!
実際に研究者たちは、「育児や家庭のケア・性別による違いが、この差異を説明する一因になる可能性がある」と述べており、特に、産後の妻のように家庭内での役割を中心となって担っている時期の女性ほど、一定の量のコミュニケーションを必要としていることが伺えます。
しかし、実際に産後の妻たちがコミュニケーションを取る場面は限られているもの。
ママ友同士の集まりや子連れで参加する地域の集まりは「話し相手と出会える貴重な場」であり、上手くその場を楽しめている人がいる一方、どうしても子どもに関する話題に偏りがち。そのため、当たり障りのない会話に終始してしまうことも多く、自己のアイデンティティや感情を自由に表現できないもどかしさを感じることも少なくありません。また、育児の悩みを共有する中で、夫や夫の勤め先に対する愚痴大会に発展するようなことがあれば、一時的にストレスを発散できたとしても、逆に心が疲れてしまったり後悔してしまったり…と、別なストレスを抱えてしまう人もいます。
要するに、「大人と話す時間」は、心のリフレッシュに欠かせない一方で、誰でも良いわけではないということ。
産後の妻たちは、単に「大人と話したい」というわけではなく、より深く自己を表現できる相手とのコミュニケーションを求めています。
中でも、自分自身を取り戻し、夫婦や家族関係の変化を前向きに捉えていくためのコミュニケーション・・・自己のアイデンティティに自信を持てる共感性の高い「会話」や、ポジティブで建設的に意見を述べ合う「議論」、更には一緒に何かを決めていくような「対話」の時間が、心の安定において非常に重要なのです。
他の誰でもない「パートナー」と話したい!
では、産後の妻たちは一体誰と話したいのでしょうか?
身の回りをお世話しに来てくれた実家の母?
お祝いに来てくれた夫の両親や兄弟?
出産を楽しみにしてくれていた友人?
職場の同僚?
…いろいろな相手が考えられますが、実は多くの産後の妻たちが求めているのは「夫」とのコミュニケーション!
それも単にお喋りを楽しむだけでなく、日常的な家事・育児から、仕事復帰や保育園探しのこと、住まい環境のことなど、「今後の生活を見据えた前向きな話し合い」を求めているのです。
なぜなら、夫婦は現実を分かち合える唯一の存在であり、産後の時期は「決めることの連続」だから。
特に、子育てしながら働き続けることを念頭に置いている場合には、下グラフのように、妻はもちろん夫も同様に「パートナー(夫・妻)の理解・協力」に期待を寄せる傾向が高まります。
育児と仕事の両立を左右するような大切な話であればあるほど、夫婦でしっかりコミュニケーションを重ね、理解・協力を得ていきたいと考えるのは、ある意味当然のことと言えるのではないでしょうか。
いずれにしても、簡単に答えが出るものから出ないものまで、「こうしてみよう、ああしてみよう」と夫婦で試行錯誤する日々が、夫婦の絆を深めてくれるもの。何より、夫婦で未来を共有しながら「わたしたちの答え」を創っていく経験が、先の長い子育てライフを夫婦で楽しく歩む上での支えになってくれます。
とはいえ夫も、育休取得などで家にいない限りは、仕事で他の誰かと1日中コミュニケーションをして帰宅する可能性が高く、「家では静かに過ごしたい…」「しばらくボーッとテレビでも観ていたい」というような気持ちになることもあるでしょう。
しかし、ほんの少しでもお互いのコンディションを確認し合うことは、夫婦にとって非常に大切な時間です。
たとえば、
「今日はどんな1日だった?」
「大変なことはあった?」
「嬉しかったことは?」
といったシンプルな質問から、コミュニケーションを始めてみるのも効果的。
誰しも慣れない育児に悪戦苦闘し、時には落ち込んだり不安になったりすることもあるものですが、このような問いかけがあることで、産後の妻たちも「自分は一人ではない」「孤独じゃない」という実感を得やすくなります。
とりわけ、人生を共に歩むと決めたパートナーと相談し合う時間や、希望が持てる未来を話し合う時間は尊いものです。何より妻たちにとって、そうした時間は産後の心と体を癒すひとときになり、夫に対してより強い信頼や愛情を実感する時間にも繋がります。間違っても、産後の妻が「誰とも話したくない…放っておいて…」と塞ぎ込んでしまうようなことにならないように。(それは「マタニティブルーズ」や「産後うつ」の始まりかもしれません!)
せめて、1日の終わりにお互いのコンディションを確かめ合うような感覚で声を掛け合うコミュニケーションくらいは、夫婦でどちらからともなく重ねていきたいものです。
産後も幸せな夫婦・家族であるために
ここまでに、「大人と話したい」という産後の妻たちの背景にフォーカスしてきました。
ここで重要なことは、産後の妻たちが話したい相手は大人であれば誰でも良いというわけではなく、「夫」との間で心の支えとなるようなコミュニケーションを重ねながら、夫婦の絆や親としての協力体制を深めていくことを望んでいるという点です。
そして『夫婦会議®』は、まさにそのための効果的な手法!
産後に激変する生活環境の中での「辛さ大変さ」「喜び楽しみ」も分かち合いながら、夫婦で未来を見据えて「わたしたちの答え」をつくり出していく。そうした前向きなコミュニケーションの積み重ねが、夫婦の信頼関係をより強固なものにし、子どもたちが笑顔で育つ家庭環境の礎となります。
一度は人生と共に創ることを決めたふたりです。
産後を機に、これまで以上に幸せな夫婦関係を育んでいけるふたりであることを信じて、言葉を交わし合ってみてください。
『夫婦会議®』は、あなたとあなたのパートナー、そして子どもたちに素敵な未来が訪れることを願っています!
『夫婦会議®』を始めてみませんか?
『夫婦会議®︎』とは、
人生を共に創ると決めたパートナーと、
より良い未来に向けて「対話」を重ね、
行動を決める場のことです。
自分ひとりの意見を通すため、相手を変えるために行うものではなく、「わたしたち」で答えを創るためのもの。
特に育児期においては、わが子にとって、夫婦・家族にとって「より良い家庭環境」を創り出していくことを目的に行います。
家庭は社会の最小単位であり、子どもたちが最初に触れる社会そのもの。『夫婦会議®︎』は、ちょっとしたことから大切なことまで、前向きな気持ちで「対話」できる家庭環境づくりを応援します。
※『夫婦会議®︎』は、Logista株式会社の登録商標であり、日本初の「夫婦の対話」メソッドです。模倣サービスにご注意ください。
※『夫婦会議®︎』のツール・サービスは、“対話”によるコミュニケーションを重視しており、他に「キャリアデザイン/子どもの発達・成長/産後ケア/周囲との結びつき」などの観点を用途に応じて織り交ぜ開発しています。
『夫婦会議®︎』専用ツール
夫婦で産後をデザインする「世帯経営ノート」
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■対象:妊娠・産後・育児期のご夫婦
■受賞:キッズデザイン賞「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」
夫婦で産後をデザインする「世帯経営ノート」は、妊娠・産後・育児期の夫婦の対話と協力体制の土台を育む『夫婦会議®︎』ツールです。ビジョン、家事、子育て、仕事、お金、住まい、セックス、自由時間、美容・健康、祖父母との人間関係など、産後にズレが生じがちな10のテーマに的を絞って質問や例題を設定。夫婦間の本音や変化に寄り添い「対話」をサポート。新婚さんや妊活中のご夫婦など、先々の子育てを見据えた方にもご愛用頂いています。
夫婦で未来をデザインする「夫婦会議ノート」
https://www.logista.jp/fufukaigi/fufukaiginote/
■対象:すべてのご夫婦
夫婦で未来をデザインする「夫婦会議ノート」は、ライフステージや世代を問わず、すべてのご夫婦の対話と協力体制を継続的に育む『夫婦会議®︎』ツールです。世帯経営ノートを1冊終えた/『夫婦会議®︎』を習慣化したい/自由な議題設定で『夫婦会議®︎』を楽しみたい…そんなご夫婦にオススメです!夫婦で話し合うことに難しさや苦手意識があるご夫婦にも「対話のコツ」や「夫婦会議のテーマ・議題例(77個)」を参考にカンタンに『夫婦会議®︎』を始めていただけます。