夫婦間での家事負担における不公平感や、家事に対する考え方・やり方のすれ違いを意味する「家事ギャップ」。

妻)朝食、洗濯、上の子の登園支度、赤ちゃんのお世話…夫が一つでも引き受けてくれたら身支度(化粧など)にゆとりが持てるのに。
夫)朝はドタバタせずにゆっくり動きたい。朝食の手を抜いて、洗濯は土日に回すとか、平日朝の家事量をそもそも減らせないのかな。

妻)「手伝うよ」って、そもそも家事・育児は誰の仕事?家族の一因として主体的に動いてほしい!
夫)仕事で疲れていても、沐浴したり、食器洗ったり…。手伝ってるのに文句ばかり言われてやる気を失う。

妻)赤ちゃんが生まれて部屋の掃除やお風呂場の掃除がちゃんとできなくなった。でも一人で全部は無理。家中の衛生面が気になる…。
夫)多少汚れていても大丈夫では?

など、家事を巡る夫婦のすれ違いは多く、そこから溝を深めていくケースも少なくありません。

今ご覧いただいている産後夫婦ナビでご紹介中の「世帯経営ノート」も、"家事ギャップ解消"をテーマにしたNHKのニュース番組内でご紹介いただき、全国からお問い合わせをいただくようになるなど、夫婦間の家事協力体制づくりが悩みの種として注目されていることを感じています。

※世帯経営ノートを実際にご使用いただいているご夫妻ご協力のもと、NHK「ロクいち!福岡(2017年7月27日)」、NHK全国放送「おはよう日本(2017年8月12日)」で、放映されました。ありがとうございました!

しかし、産後の夫婦がギャップを感じるポイントは家事だけ…なのでしょうか?

実際には事態はもう少し複雑で、すれ違いに発展するポイントは他にもある…ということで、今回は、世帯経営ノートの目次に据えている夫婦会議のテーマを抜粋。自分たち夫婦の間で話し合った方が良さそうな箇所は無いか、日頃のパートナーの言動やご夫婦の関係性、ご家庭の状況を思い起こしながらチェックする際の参考にしていただければとと思います。

夫婦会議のテーマに見る、すれ違いを感じやすいポイント

家事 〜誰が何をどう担う?〜

炊事、洗濯、掃除、整理収納、買い物、介護や病人の看護など、決してラクではない暮らしの営みの数々を、どのように協力して進めていくか?一度も話し合うことなく「何となく役割が決まっている」場合や、「片方の負担が大きい」場合など、ふとした時に溝が深まる原因に。自分に都合の良い家事体制になっていないか?お互いの納得感を大切に、ライフスタイルの変化に合わせて見直していきたいテーマです。

 

子育て 〜どのように育てる?〜

親はなくとも子は育つ…ということわざこそあるものの、生まれて直ぐに立ち上がることも出来ない人間の赤ちゃん。新生児・乳幼児の頃の食事や衛生面のお世話にはじまり、小学生以降の成長のサポートなど、子供の年齢や発育状況、障がいの有無などに応じて親は子育てを行なっていきます。子どもの未来や人格形成に影響を与える身近な存在として「子育ての方針」や「親としての在り方」をどう考えるか?夫婦でゆっくり話し合っていきたいテーマです。

 

仕事 〜なぜ働く?どう働く?〜

子育て期の働き方は、個人の人生観だけでなく「家族のライフスタイル」全てに影響をあたえる重要なテーマ。子どもや家族との時間を大切にしたいという思いから働く時間帯や場所を変えたり、キャリアビジョンを見直す人も少なくありません。お互いにとって、仕事とは何か?共働きかどうかに関係なく、理解協力しあえる働き方ができているか?一度は話し合っておきたいテーマです。

 

お金 〜どのように家計管理する?〜

子育てがはじまり、将来を見据えたライフプランが気になり始める頃。同時に、金銭感覚の違いも感じやすくなります。日々の暮らしと将来を結びつけるお金の問題。夫婦で納得して家庭のお金を管理していけるように、目をそらさずに話し合いたいテーマです。

 

住まい 〜どこで誰とどう暮らす?〜

今の住まいは子育てに向いていますか?生まれ育った環境や趣味などを背景に、それぞれに暮らす環境に求めることが異なってくるだけに、すれ違いを感じやすくなるのが住まいの問題。親世代との同居や近居などをどう考えるかも大きなテーマになってくるでしょう。家族一人ひとりにとって心地よい住まいを目指して話し合っていきたいテーマです。

 

セックス 〜どんな風に愛し合う?〜

身体や心、生活習慣が変化する妊娠期から産後の時期を経て、セックスレスに陥っていく夫婦は少なくありません。子どもの父親と母親として信頼関係を築くことと同じくらい、男と女として愛しあえる関係を紡いでいくことも大切。触れ合う努力はできていますか?相手が嫌がることをしていませんか?これまで以上に、思いやりと努力が必要になるテーマです。

 

自由時間 〜息抜き…いつ何をする?〜

子育てが始まったからと言って「やりたいことを、やりたい時に、やりたいようにできない状況」が続くと、誰しもストレスを感じるもの。特に育児不安、睡眠不足などでマイナス思考に陥りやすくなる産後の女性はストレスをバネにできる余力がありません。産後の妻はもちろん、家族それぞれが「自由を感じられる時間」をつくることも大切。一人で、夫婦で、親子で、家族で…誰とどこで、どんな自由時間を過ごすか、月に1度は夫婦間で話しておきたいテーマの一つです。

 

美容と健康 〜…のために何をする?〜

妊娠期から産後にかけての女性は美容と健康の面で悩みを抱えがち。しかし、赤ちゃんや子どもを優先する生活の中で、自分の美容や健康状態を気遣え無くなる人も少なくありません。お互いの心と身体の状況を知り、労わり合っていくための大切なテーマです。

 

子育てを取り巻く人間関係 〜どのように周囲の理解と協力を得ていく?〜

実家やパートナーの両親に、どの程度子育てに関わってもらう(助けてもらう)のか?今までと同じように働けなくなる場合、仕事仲間にどのように理解・協力してもらうか?ママ友・パパ友、ご近所の方との距離感をどう考えるか?保育園や幼稚園とどのようにコミュニケーションしていくか?など、子育てを取り巻く人間関係は、夫婦の間でも意見が割れやすいポイント。夫婦が一枚岩となって周囲とコミュニケーションをとっていけるように、気にかけておきたいテーマです。

 

お互いの「在りたい姿」 〜どんな自分、夫婦、家族でいたい?〜

実はこれが一番大切かも?というほどに重要なテーマ。「在りたい姿」は、夢や目標に関わる大切な話題です。はっきりとしたイメージがある人ばかりではなく、ライフイベントを機に変化することも多いものですが、事あるごとにお互いに関心を持ち、確認し合いたいテーマと言えます。

 

いかがでしたか?こうして見ていくだけでも、家事以外に二人ですり合わせていきたいテーマが見つかったのではないでしょうか?

大切なことは、自分たち夫婦が直面している問題から目をそらさず、二人で協力して向き合っていくこと。「すれ違いを感じるポイント」は、理解・協力し合えるようになりさえすれば、「夫婦の仲が深まるポイント」に転じると考え、前向きに「夫婦会議」を始めてみてもらえればと思っています。1日でギャップ解消に至るテーマではなく、それなりに根気を要するものばかりかと思いますが、話し合っていく内に「そんな風に考えていたのか!」と妙に納得したり、「それはいいアイディアだよね!」と思えることも出てくるのが、夫婦会議の良さでもあります。

子どもはいつか巣立ちます。そうして再び夫婦ふたりに戻る時、そこに今よりも深い信頼関係があるかどうかは、夫婦が互いの意思を尊重する中でパートナーシップを発揮できたかどうかにかかっています。一人の人間として、夫婦・家族として幸せな選択を重ねていけたら良いですね。お互いに、頑張りましょう!

「夫婦会議」を始めてみませんか?

ふたりのペースで「夫婦会議」を始めてみる!

夫婦で産後をデザインする「世帯経営ノート」
https://www.3522navi.com/guide/archives/52

家庭も仕事も大切にしたい…もっと夫婦で協力し合えたら…。そんな産後のご夫婦の声を元に開発した「夫婦会議ツール」です。家事、子育て、仕事、お金、住まい、セックス、自由時間、美容と健康、祖父母との関係など、産後の夫婦がすれ違いやすいポイントに的を絞って質問や例題を設定。夫婦を世帯の共同経営者に見立てた「世帯経営」というオリジナルの概念を用いて二人で問いに向き合う内に、大切なことを前向きな気持ちで対話できる夫婦関係が築かれていきます。

家庭は社会の最小単位であり、子どもたちが最初に触れる社会そのものです。わが子に幸せな家庭環境を創り出していける夫婦であるために。夫婦・家族の明るい未来に向けて、ぜひ一家に一冊お持ちください。

よその夫婦と「夫婦会議」を始めてみる!

子育て期夫婦のパートナーシップを強くする!両親学級「世帯経営セミナー」 
https://www.3522navi.com/events/archives/category/partner  
それぞれが仕事や家事・育児に一所懸命取り組む日々の中、自分やパートナーがどういう状態を望んでいるのか?何に不安や課題を感じているのか?講師を務める私たち夫婦の体験談の他に、これまでリサーチを重ねてきたご夫婦の事例を交えた「産前産後のリアル」をお伝えしながら、ワークショップやディスカッションを通して「夫婦会議」を体感いただく場です。

「誰にでも起こりうる産前産後の危機を乗り越え、我が子に幸せな家庭環境を創り出せる夫婦になる」そのためのキッカケをお届けします。子育て中のご夫婦はもちろん、妊娠中のご夫婦、これからお子さんをお考えのご夫婦、新婚さん、結婚前のカップルさん、ぜひご参加ください!