リクルートコミュニケーションズ(リクルートホールディングス子会社)は7日、男性の育児休暇を義務化する制度を4月から導入したと発表した。育児休暇制度はこれまでもあったが、利用が進んでおらず、義務化することで本人だけでなく社内全体で男性の育児参加への理解を促す。

対象となるのは正社員、専門社員、契約社員で約500人。男性の育児休暇はこれまでは任意で2日となっていた。この制度を最大で20日に増やし、うち5日は義務化する。これまでは休暇を取得しないか、有給休暇で取得する従業員が多かったという。政府は2020年に配偶者の出産直後の男性の休暇取得率を80%に高める目標を掲げている。

引用元:2016/4/8付 日本経済新聞 【リクルート系、男性社員の育休を義務化  正社員・契約社員ら500人対象】

「SUUMO」「ゼクシィ」「ホットペッパー」「リクナビ」などで知られるリクルートグループ。同グループで働く友人らを見渡す限り、「営業が強い、体育会系、アクティブ、夜が遅い」など、「猛烈に働く人」ばかりを想像してしまう筆者ですが、そうした中で「まさか」の一手!

先月4月のお話しになりますが、グループ会社である株式会社リクルートコミュニケーションズが、多様な人材の活躍支援の一環として「男性の育児休暇を必須化する」ことを打ち出しました。
 

というのも、育児介護休業法に基づく「育児休業」に加えて取得可能とされている同社オリジナルの「育児休暇」をこれまでに取得した男性社員はほとんどいなかったそうで。後に続く人がなかなか出てこない中、周りを気にせずに当たり前のように取得できる「環境」に変えていくために、男性の「育児休暇の必須化」に踏み切ったとのことでした。

ちなみに「育児休業」の取得率や推進状況の実態が気になり担当の方に電話で問い合わせてみたところ・・・「社員の取得率は女性で100%、男性で8.3%」という回答をいただきました。日本全体でみると男性の育児休業取得率は2%前後ですから、それに比べれば良い方ですよね。今回の「育児休暇の必須化」の動きに合わせて、今後さらに「育児休業」の取得率も伸びていくかもしれません。

時間≠成果…育児を「生産性向上」のキッカケに!

「自分が限られた時間ですべきことは何か、そこをしっかりと選択し、メンバーに渡せるものはまかせていくことによって、組織力が強くなったと感じています。また、メンバーの中には、僕と同じように子育てをしている人もいるので、急にお迎えに行かなければならなくなった場合に、心から共感してフォローすることができるようになったことも大きいですね。ただ一方で、僕と同じようにアウトプットの総量は減らしてほしくないなとも思っていて、メンバーにも常に働きかたの改善は求めています」

引用元:2015/1/12付 ハフィントンポスト日本版 (イクボス部長、「仕事」と「育児」どうしてる? リクルートに聞いてみた)

上述したインタビューに登場されている株式会社リクルート住まいカンパニーの方は、お子さんが産まれる前までは朝8時から会議が入り、夜は22時23時くらいまで会社にいることもよくあったそうです。それが、奥様の仕事復帰を目前に「このままでは家庭が回らなくなる」という危機を感じて、働き方を少しずつ変えていったとのこと。

具体的には、子どもを保育園に送る役割を引き受けたり、出席する会議を絞り込んだり、午前10時前と夜20時以降に仕事が入らないようにグループ内のスケジュール管理ソフト上でスケジュールをブロックしたりするなど、「労働時間を短縮する働き方」に変えたそうですが、実はそれだけではないようで。通勤時間にITツールを駆使して効率よく仕事を進めたり、メンバーの育成に力を入れて裁量を渡すなどして「限られた時間の中でアウトプットの質を上げていく働き方」を意識したことが働き方改革の成功要因になったようです。

「父親になる」そのタイミングを活かそう!

子育ては「樹を植え、育てる」がごとし。

これは、子育てを“樹木の成長”に例えた言葉です。「子どもは善にも悪にも染まりやすいものであり、育て方によっていかようにもなる。小さい時の養い方がその後の“育ち”を決める」このような考えに基づいているそうです。

その昔の江戸時代、日本男性が積極的に育児をしていたことは国際的にも有名な話。子どもを「跡取りとして教育する必要があった」などと言われていますが、果たしてそれだけなのでしょうか。今と昔とでは、仕事の内容や普段の生活環境など単純に比較できないことの方が多いとはいえ、「幼少期の養い方がその後の“育ち”を決める」という点で考えると、充実した子育て環境にあったのかもしれませんね。

また、実際に子育てを機に夫が働き方を変えるかどうかはご本人・ご夫婦次第ですが、本来、子育ては妻だけの仕事ではありません。

夫婦それぞれが「母親」「父親」として子どもに責任のある立場にあり、夫も「仕事よりも子どもや妻のことを優先して対応しなければならない場面」に出くわす可能性があります。それは「子どもが生まれてから」だけでなく「妊娠中から」言えること。急な妻の体調の変化で駆けつける場面は以外と多いかもしれません。

そうした時に、慌てず対応できるかどうか。

仕事や家庭を大切に思えばこそ、「今までと同じように働くことができなくなった場合にどうするか?」ということを考えておきたいもの。父親になるタイミングを活かして、働き方や暮らし方を見直してみることができたら良いですね。