夫婦間で、「事前に確認してくれれば良いのに」「どうして相談もせずに決めたの?」「ちゃんと話し合おうよ!」とケンカになった経験はありませんか?
カップルの頃には「強引だけど、頼もしい彼」「テキパキとした、しっかり者の彼女」と思えていた長所が一変。
結婚し、ふたりの間に子どもが生まれる産前産後の時期には、「独断スタイル」として夫婦間の溝を深める一因になることがあります。
どく‐だん【独断】
[名](スル)
1 自分ひとりで物事を決断すること。また、その決断。「社長の独断」「取引の開始を独断する」
2 自分の思い込みだけで、公正を欠いた判断をすること。また、その判断。「結論が独断に陥る」「独断と偏見」(デジタル大辞泉 より)
それもそのはず!
産前産後は「決めること」の連続であり、悩みや不安も増える時期。あーでもない、こーでもないと、夫婦で話し合いながら、新しい夫婦の協力体制を再構築していくタイミングです。
そうした大切な時期に・・・
・妊娠をキッカケに、夫から「うちの親と一緒に住んだ方がラクだろう」と義両親との同居を決められた。
・育児にも積極的に取り組みたいのに「家のことは私に任せて、あなたは仕事を頑張って」と妻に言われた。
・土日のどちらかは家族で過ごす時間をつくりたいのに、夫が趣味や友人との予定を勝手に入れてしまう。
・「うちは○○だから〜」と、夫婦で話し合ったことが無い内容でも「夫婦の総意」として話をされる。
・(夫が、妻が)一言も相談することなく会社を辞めてしまった。
など、相談や確認もなく物事を進められてしまったり、夫婦間の話し合いを軽視されたりすると「モヤッ」と「イラッ」とするもの。
場合によっては、「自分は必要とされていない」「信頼されていない」と相手を不安な気持ちにさせ、夫婦の溝を深めることもあるのです。
ではなぜ、大切な存在であるはずのパートナーを差し置いて「独断」してしまうのでしょう?
自分自身を含め、パートナーとのコミュニケーションにおいて何らか思い当たることがある人は、この後に続く「独断スタイル」の3つの特徴と、改善策を参考にしてみてください。
特徴①「自分が何とかしなくては」という責任感
カップルの頃や夫婦ふたりだけの頃であれば感謝されていたかもしれない責任感や決断力。
それが、産前産後は「独断」に繋がり、夫婦の溝を深める原因になることがあります。
夫「(産褥期に)抱っこ紐とベビーカー買ってきたよ!外出できるようになったら、これで散歩でもしよう!」
妻「え!?私、抱っこ紐もベビーカーも一緒に選びに行くのを楽しみにしてたのに…」
妻「里帰り出産の手続きを進めてきたよ。母が実家に戻って産んでくれた方がサポートし易いらしい」
夫「えー!?俺、立会い出産とか1年間の育休とか、前向きに考えてるんだけど…!」
これらは「自分が何とかしなくては」「人に迷惑をかけてはいけない」という責任感から生じる独断行動。普段から先回りして物事を考えたり、気遣いができる人が時折してしまう善意からの行動で、悪気がないのが特徴です。
他に「妻を引っ張っていかなければ」「夫に心配をかけてはいけない」「母親/父親なのだから」などのジェンダーバイアスによる責任感から独断に走るケースもあります。
しかし、たとえ良かれと思ってしたことでも、相手の感情を逆撫でしたり傷つける結果に繋がってしまえば本末転倒です。
もし、パートナーがこのタイプに該当するなら、
「率先して考えてくれてありがとう。でも、ふたりにとって大切なことだから、一緒に話し合って決められたら嬉しい」
とやんわり伝えてみてください。
相手を思い遣る気持ち(善意)から生じた独断行動は、割と簡単に改善できるもの。
「話し合って決めた方が喜ばれる」ということさえ伝われば、すんなり独断スタイルから抜け出せる可能性があります!
特徴②「自分が正しい」という思い込み
勝手に決めた理由を尋ねたら、「これが一番良いと思ったから」「いろいろ調べた上で正しい選択をしたつもり」と、悪びれる様子の無い答えが返ってきた経験はありませんか?
悪気がないという点で責任感から生じた独断行動のようにも見えますが、どちらかというと、自分の価値観や答えに自信がある人に共通する受け答え。
つまり、「正しさ」に対する自信から生じる独断行動と言えます。
この場合、
・自分の方が、早くから深く考えきた。
・自分の方が、この件について詳しい。
などの理由から「自分が正しい」という自信を強めているケースが大半で、独断スタイルから脱却する難易度が上がります。
しかし、怯んでいる場合ではありません!
たとえ早くから深く考えてきた上での答えでも、詳しい者による答えでも、それが「独断」である限り「片方の答え」にすぎず「夫婦の答え」ではないという事実に向き合う必要があります。なぜなら、先の長い子育てライフを夫婦で協力し合っていく上で「一緒に考えて話し合える関係性」こそ重要になるから。
「自分が正しい」という自信を持っている相手に、こうした不都合な真実と向き合ってもらうことは容易ではありませんが、自分の「正解」を優先して夫婦間の「納得解」を蔑ろにしている内は、夫婦間に対等で健全な信頼関係を育むことも、より良い協力体制を築くこともできません。
もしあなたのパートナーにも似た傾向があるなら、
「正解よりも、納得解」
をキーワードに、勇気を出して今ご覧いただいているこの記事を共有することから始めてみてください。
独断スタイルから脱却し、「わたし」だけでなく「わたしたち」で答えを出せる夫婦関係に向けた一歩を踏み出せることを願っています!
特徴③「どうせ分かってもらえない」という諦め
以前はいろいろと相談や話し合いを持ちかけてくれていたのに、声がかからなくなった。気がつけば「独断」で物事を進められていることが増えた。
・・・そんなことが夫婦間で起きていませんか?
こうした場合には、
・相談しても無駄だから。
・まともに話し合えると思わないから。
・どうせ自分の話は分かってもらえないから。
と、コミュニケーションを諦めている恐れがあります。
そして「諦め」が「独断」を助長しているとしたら…事態は深刻な状況です。
いつからパートナーは相談してこなくなったのか?どんな出来事がキッカケになっているのか?
できるだけ注意深く具体的に、パートナーとの過去のやり取りを振り返ってみることからはじめてみてください。その上で、相手が心を閉ざしてしまった原因が自分自身の言葉や態度に見つかったとしたら、その瞬間から「ごめん」の気持ちを惜しまずに伝えていくことが大切です。(どんなに些細なことのように思えたとしても!)
一度心を閉ざしてコミュニケーションを諦めた相手と、再び話し合える関係に戻ることは容易ではありません。
それでもあなたが諦めたくないのであれば…
まず自分のコミュニケーションを見つめ直し、積極的に変えていくことが大切です。
「あなたのことを理解したい。あなたともっと話したい」という姿勢が伝わるように、具体的に行動で示しましょう。
例えば・・・
・相手の話が要領を得ないとしても、遮らずに最後まで「聴く」。
・中途半端に分かったつもりにならず、理解を深めるための「質問」をする。
・聴きっぱなしにせず、共感したこと理解できたことを「感想」として伝える。
・相手から話しかけられるのを待たずに、自分から「相談」する機会を増やす。
などは、割とすぐに取り入れていただける行動かもしれません。
再び相手からも「相談」や「話し合い」を持ちかけられるようになる日を目指して、できることから粘り強く取り組んでみてくださいね!健闘を祈ります!
目指すは「対話」ができる・楽しめる夫婦関係
夫婦間の信頼を揺るがす「独断スタイル」。
次から次にいろいろな物事を決めていかなくてはならない妊娠〜産後・育児期には、一方的なコミュニケーションに陥りがちですが、夫婦間で独断が常態化することだけは避けたいもの。
日常的な「会話」や、意見を出し合う「議論」などのコミュニケーションも大切にしながら、少しずつ、「わたしたち」で答えを創る「対話」に向けた話し合いができる夫婦関係を育んでいけると良いですね。
そのためにも、
・自分が何とかしなくてはという責任感
・自分が正しいという思い込み
・どうせ分かってもらえないという諦め
などの、独断に繋がる様々なトラップを乗り越えていきましょう!
人生を共に創っていくことを決めたおふたりが、産後もより良い夫婦のパートナーシップを発揮できますように。「わたし」だけでなく「わたしたち」で話し合って決めていく楽しさ・心強さを感じられますように。
ご夫婦・ご家族の子育てライフが明るいものになっていくよう、心から願っています!
『夫婦会議®︎』を始めてみませんか?
『夫婦会議®︎』とは、
人生を共に創ると決めたパートナーと、
より良い未来に向けて「対話」を重ね、
行動を決める場のことです。
自分ひとりの意見を通すため、相手を変えるために行うものではなく、「わたしたち」で答えを創るためのもの。
特に育児期においては、わが子にとって、夫婦・家族にとって「より良い家庭環境」を創り出していくことを目的に行います。
家庭は社会の最小単位であり、子どもたちが最初に触れる社会そのもの。『夫婦会議®︎』は、ちょっとしたことから大切なことまで、前向きな気持ちで「対話」できる家庭環境づくりを応援します。
※『夫婦会議®︎』は、Logista株式会社の登録商標であり、日本初の「夫婦の対話」メソッドです。模倣サービスにご注意ください。
※『夫婦会議®︎』のツール・サービスは、“対話”によるコミュニケーションを重視しており、他に「キャリアデザイン/子どもの発達・成長/産後ケア/周囲との結びつき」などの観点を用途に応じて織り交ぜ開発しています。